食事について語る前に、まず閉鎖手術後の排便状態の変化について述べます。人工肛門閉鎖手術の後、お腹の右側にあったパウチ(便ため袋)がなくなったことがとにかく嬉しかったことを鮮明に覚えています。手術後お尻から便が出始めるのに5日ほどかかりました。閉鎖手術から8日目に退院しました。便の出始めはとにかく繰り返すひどい下痢です。入院中は初めの食事が重湯:おもゆやおかゆだったこともきっと関係しています。便意があってトイレに行き、下痢の便を出し終えた直後に、お尻をトイレットペーパーで拭いていると、すぐまた出たくなる。便が終ったと思い紙オムツを上げた瞬間に、病衣のすそを整えた直後に、病室のベッドに戻った途端に、際限なくエンドレスに便意が襲ってくるのです。そのたびにトイレに駆け込みます。この「トイレお百度参り」はお腹の中にある便が、ある程度なくなるまで、多い時は30回、8時間も続きました。この頃はお尻がただれて痛くてたまりませんでした。あとで詳しく書きますが、ウォシュレットの強い水勢や熱過ぎる温度設定は、お尻のただれや痛みの原因になります。ウォシュレットの水勢は弱、温度はぬるま湯か水がよいでしょう。水やお湯がお尻にしみるようなら「薬用サニーナ」というスプレーをトイレットパーパーにかけてお尻をやさしく拭くようにすると良いでしょう。薬局や病院の売店にあります。また「アズノール」という軟膏を塗ると楽になります。ドクターや看護師さんに言えば出してくれます。またこの初期の下痢の時期には下痢止めは飲まない方が良いでしょう。ドクターの話しでは、閉鎖手術直後は腸管が細くなっていることも多く、癒着:ゆちゃく(くっつく)しやすくイレウス(腸閉塞:ちょうへいそく)になって詰まるほうが大きな問題だそうです。なので、初期には下痢止めは処方してもらえません。私の場合は退院して3か月ほど経って便が安全に出ていることが確認されてから薬を出してもらえました。後にいろいろ調べて分かったことですが、手術後のひどい下痢については手術の時に使った抗生物質が腸内細菌を殺してしまい、その腸内細菌がある程度もとに戻るまでひどい下痢が続いたようです。ヒトの腸内細菌は約100兆個(匹?)も腸の中に住んでいます。これをお花畑に例えて「腸内フローラ」と呼んでいます。専門用語では腸内細菌叢:ちょうないさいきんそう、腸内細菌の草むらの意味です。「潰瘍性大腸炎」:かいようせいだいちょうえん、という大腸内に慢性の炎症が起きてひどい腹痛や下痢を繰り返す病気の治療として、欧米では「便移植:べんいしょく」(健康な人の便を移植する)が行われています。この病気では、いわゆる善玉菌と悪玉菌のバランスが狂っており、菌の多様性(菌がバランス良く存在している)が失われていることが分かっています。順天堂大学など日本でも治験(お試し)が始まっています。一度病気の腸内細菌を薬で殺してから健康な大腸菌を移植するのです。ちなみに健康な兄弟・姉妹からの移植が一番効果があるようです。さて私のように大腸がんの手術を受け人工肛門閉鎖術を受けた場合には2回の手術で、当然感染症を防ぐため抗生物質の投与を受けます。一度目の手術から数か月、私の場合、3か月間、大腸を使わなかったため、腸内細菌はほとんど増えないと考えられます。そこで二回目の抗生物質でもう一度少ない腸内細菌がさらに死んでしまったと考えられます。よって閉鎖手術後は腸内細菌がほとんどいない状態となるため初めはひどい下痢が起こって来たのだと思われます。私の場合は閉鎖手術後2か月ほど下痢が続いた後、腸内細菌が回復してきたためか少しずつ下痢が解消してきて、柔らかめだった便がだんだん固くなって、10か月ほど経った頃から便秘に移行していきました。

排便のメカニズムについては原因の項も参考にしてほしいのですが、朝食を食べると総蠕動:そうぜんどう、(=大蠕動:だいぜんどう)が起きて直腸の上のS状結腸、下降結腸などから直腸に便が移動して直腸が膨らみ、その刺激が脳に伝わってトイレに行って排便したくなります。ただし直腸には便を溜める機能がありますので、その時は我慢して後で出したりすることも可能です。ところが私には直腸がありません。一度便が出始めたらある程度の量を出し切るまでは排便が止まりません。私は30年ほど前から、朝食後のトイレ通いが日課になっていて、朝食を食べコーヒーを飲むと必ずトイレに行きたくなっていました。直腸が無い今ここで便が出始めたら、いつ終わるかわからない「排便の無限ループ」にはまり仕事に行けなくなります。ですから朝食後の終わりの読めないトイレは絶対に避けなければなりません。そこで、朝食を食べないと体に良くないことは百も承知で、まず朝食を止めてみました。次に昼食も止めました。昼食後の総蠕動も当然仕事の妨げになります。それで夕食1食だけにしました。つまり総蠕動が夕食後に起きるようにしました。これだと確かに夕食後から真夜中にかけて排便がありました。しかし朝昼どちらも食べないと、午後からお腹が空き過ぎて生活に支障がありました。そこで、昼食におにぎりを2個だけ食べるようにしました。(水分を余り含まないようなものが下痢になりにくいと思い)水分摂取も最初は少なめで、日中喉が乾いたら2、3口水やお茶を飲むようにしていました。500mlから1Lくらいでしょうか。ラマダン月のイスラム教徒の人は日中水分を全く取らないそうですが、すごいですね。薬も使ってまあとにかくそれで何とか夕方まで排便無くもつようになりました。この食事法は仕事の日は今でも守っています。主に夕食で必要な栄養を補給するようにしています。ただし食べ過ぎると夜中に長時間ずっと、ひどい時には朝まで排便が続くことがあるので、あまり食べ過ぎないように注意しています。また朝食を食べないとストレスがたまります。それで休日は朝食を普通に食べることもあります。午後の時間にトイレに行きたくなりますが、休みなのでトイレ時間は自由に取れます。また休みの午後はジムに行く事が多いので、自転車を漕いだりするとうまく排便が出来ることがあります。そして閉鎖手術から1年以上経った今ではトイレに行きたくなってもすぐに漏らすようなことはほぼありません。また体調が戻ってくると、午前中にお腹が空き過ぎて胸焼けすることが多くなりました。それで朝食に少量(大さじ4杯)のヨーグルトを食べます。朝6時頃に食べるとその後少しの排便がありますが、8時頃には終わって仕事に行きます。現在は9時か10時に仕事が始まります。また7時や8時の早出の日には朝食は取りません。
昼食を食べるようになると初めの頃は、「総蠕動が昼食後に来ないか」心配でした。それで日中にもし排便があっても下痢にならないように、術後3か月の診察時にドクターに頼んで下痢止めを処方してもらいました。便を固めて下痢を止める薬(タンニン酸アルブミン+アドゾルビン原末)というドクターいわく「ひどく不味い粉薬」を、朝と昼食後、夜間下痢のときに飲むようにしました。この対策によって朝8時頃から夕方6時頃まで仕事に差し支えるような排便はほとんど無くなりました。時々昼休みにおしっこのついでに少量の便をする程度で朝から夕方もしくは夜中まで排便せずに生活できるようになりました。便が出にくくなったのはいいのですがお腹の便をほぼ出し切った後、だんだん2日から3日便秘が続くようになってきました。下痢よりはるかに良いですが、便秘によって血圧の問題が生じるようになりました。どうしても無意識に便を出そうとしてふんばるので血圧が上がるのです。もともとがんになる前から降圧薬:こうあつやく(血圧を下げる薬)を飲んでいました。排便の後、血圧が上がってフラつき、かかりつけ医を受診したことが何度かありました。便秘の時、便通を良くするために油が良いと言われています。便が「つるん」と出るのだそうです。そこで朝のヨーグルトや夕食時にオリーブ油(エキストラバージンオイル)を小さじ2,3杯取るようにしました。おかげであまり踏ん張らなくても便が出せるようになりました。それに従い血圧の上昇も穏やかになりました。ただし1年4か月たった今はこの下痢止めは使っていません。使わなくとも下痢にはならなくなりました。今はかえって便秘ぎみです。現在、オリーブ油の代わりに、血圧を下げると言われる健康成分のオメガ3脂肪酸を含むアマニ油、エゴマ油を検討しています。使用感はいずれご報告します。
排便の時間と睡眠時間についての対策です。夕食と昼食のおにぎり2個だけを食べるようにして、昼間は薬で排便を止められるようになりました。排便は夕食後7時頃から深夜1時頃までのうちの2から3時間程度、朝5時から8時までのうち2時間程度かかります。(トイレに入り始めてからお腹の便がほぼ出きるまで、休憩時間も含んで)
夕方7時から朝5時までの間で7から8時間睡眠時間を確保するよう努力しています。トイレの時間は不安定で「10時から深夜1時まで3時間の排泄時間」というような決まった時間での排泄が出来ません。よって睡眠も3時間寝て、トイレ30分、また睡眠2時間というように途切れ途切れで、連続して6時間から8時間の睡眠時間はまず取れません。当然睡眠の効率は悪く、全部で9時間以上ベッド上にいることが多いです。
朝食は食べない。昼食は少量(水分の少ない食事で、おにぎり2個)とする。夕食は6時頃に特に量の制限なく食べるが、余り食べ過ぎないようにする。ただし、節制ばかりでは気持ちがしぼんでかえって長続きしないので、休日には朝食を食べることもある。午後に排便するようになるが、休日なので気にしない。また手術後1年半を過ぎた頃から、酒も飲んでよし(缶ビール1本)とした。
5時30分 起床 シャワー
6時 勉強 ブログ (5時半から8時30分 できる限り排便)
8時30分から9時 出勤 休日は朝食
12時 昼食 おにぎり2個 (12時30分 トイレ 出れば排便)
14時 休日はジム (運動して出れば排便)
17時 退社
18時 風呂 夕食
19時から1時のうち2から3時間 排便
19時から5時30分までに7から8時間睡眠を取る(短時間の睡眠を数回取る)
調整しても排便の時間は完全に一定には出来ないので基本的には「出る時に出せば良い」と考える。無理に時間を固定しようとするとストレスになる。朝でもお昼でも夜でも出せる時に出れば良い。その時、下痢にならないことが大切。食事の時間、回数、量などの工夫で排便の時間を大まかにコントロールする。私の場合は昼間、仕事中に出来るだけ出ないように、夜と朝に排便できるように工夫した。