直腸がんでもあきらめない 仕事も遊びも

3.対策 「虚血筋力トレーニング」+「スロートレーニング」+「エキセントリック・コントラクション」=エキセントリック・スロー・虚血トレーニング

両腕、両太ももの付け根を弾性包帯で締めつけ血流を制限して「虚血」状態を作りだし、その状態で軽い負荷をかけた運動を行い乳酸を発生させて成長ホルモンの産生を促します。つまりその部分に強い負荷がかかっているように脳に錯覚させ、脳はその部分を強化するために、成長ホルモンを通常の250倍以上分泌させて筋肉を強化し対抗しようとします。(強くて筋肉隆々な腕で例えば30kgの重りを持ち上げたとします。腕の筋肉の中ではアクチンとミオシンという収縮タンパク質が強くくっついて筋肉が強力に収縮します。その中を通っている血管は筋肉に押しつぶされて血流が制限され「虚血状態」、筋肉は酸欠状態になります。この強く負荷がかかった状態を弾性包帯で作り出すのです。この状態で軽い負荷の運動を行えば重い負荷のかかった運動と同じように成長ホルモンが多量に放出され効率的に筋肉増強を行うことができます)これによって軽い重りや運動負荷でも筋肉を効率的、安全に発達増強させようという方法です。

弾性包帯装着状態 上腕最上部

太もも 最上部

虚血筋力トレーニングの詳しいメカニズム

血液、血流制限による筋肉内の酸素低下により、軽い運動負荷でも、脳は重い重りを持ち上げているような、非常に強い負荷がかかっていると勘違いして、強い負荷がかかっているような時にしか働かない速筋繊維が働き強化される。(速筋線維:そっきんせんい、に対するものとして軽い負荷の時にしか働かない遅筋線維:ちきんせんい、がある。速筋線維は短時間全力を出す100m走のような運動で主に働き、マラソンのような軽い負荷であるが長時間続けるような運動では遅筋線維が主に働く)

弾性包帯で腕や太ももの付け根を圧迫するので、皮膚の表面にある静脈の血液、血流を強く制限される。それにより血液中の乳酸濃度が上昇し、やはり脳は強い負荷がかかっていると勘違いして成長ホルモンを普段の最大250倍以上放出する。成長ホルモンの作用により、筋肉、骨の成長が促進される。また脂肪の分解が進む。成長ホルモンの本来の働きは脂肪を分解することである。(脂肪を遊離脂肪酸にして血中に放出する)

アナボリックホルモン分泌を促進する。このホルモンは筋肉をつくる司令を出す。またアドレナリンの分泌も促す。

以上の作用によって、次のような効果を上げることができます。

1.ダイエット効果

成長ホルモンの本来の仕事脂肪の分解です。

2.血行促進

加圧、除圧(弾性包帯を装着したり外したりすること、筋肉を収縮させたり弛緩させたりすること)により血管に弾力が蘇り、新陳代謝が活発になり冷え性、肩こり改善などに効果があります。また体温が上がることで、酵素の活性が上昇し、様々な免疫物質の働きが亢進してがん細胞を攻撃し抑える働きが高まると思われる。

3.回復力のアップ

骨折や捻挫、肉離れなどが成長ホルモンによって修復が早まる

4.安全に筋力アップ

軽い負荷で筋力増強の効果が得られ、安全にトレーニングが可能となる。

5.若返り、美肌効果

成長ホルモンにより、肌のつや、ハリ、が増し、シワが減る。脂肪のつきにくい体となる。

使用用具

アルケア弾性包帯 サポーテックス 6号 幅15cm✕伸長9m(1箱4巻入り)

ゴムバンドや伸び縮みする弾性包帯など使えそうなものは他にもあると思いますが、私が何年もかけて(このトレーニングは病気以前から研究し試していたものでした)試した結果、伸び率や圧迫部分にかかる圧力の程度などにおいて、最も効果的で安全性も高いと思われるのがこのアルケア「サポーテックス」弾性包帯です。これまでこの製品を下にのべるような基準で使っていて使用後に問題となる痛み、しびれ、血腫などが起こったことはありません。

弾性包帯を巻く部位 上腕、大腿(太もも)の最上部(最近位部)

切断する包帯の長さ: 腕最上部周囲径✕1.7倍(上腕を2巻) 大腿最上部周囲径✕1.8倍(大腿3巻)

例:上腕最上部周囲径30cm→弾性包帯長さ51cm+3から5cm(結び目の長さを含み)

  大腿最上部周囲径60cm→弾性包帯長さ108cm+3から5cm(結び目の長さを含み)  

適度な長さに切断し結んだバンド

小バンド腕用 大バンド太もも用 

腕(上腕最上部)2巻(腕2周)・太もも(大腿最上部)3巻(太もも3周)にして装着 ちなみにワッカの状態で「洗濯もできます」

これは大雑把な基準で、装着感によって長さを数センチ単位で調節することで自分に合った長さを決定します。ただし、血流が完全に止まると組織に損傷を与える可能性があるため、上腕、太ももともに最上部周囲径の1.5倍より短くしないようにして下さい。また弾性包帯による虚血に慣れてきたら、弾性包帯を1箇所に2つ装着したり、大腿の包帯の3巻を4巻にして包帯の圧迫力を強めたりするなどの工夫は可能です。基本的には装着した状態での筋トレは30分以内として慣れてきた時も1時間を超えないようにしてください。頻度は週2回程度です。また慣れてきたら1日目腕→2日目太もも→3日目休み→4日目腕→5日目太もも→6日目休みと行うと週4回可能です。弾性包帯より抹消の腕や足の色が薄い赤紫色になる程度が適度な圧迫具合です。皮膚表面の静脈の血行が妨げられるので静脈の血管が少し膨らんできます。もし手足がしびれてきたり、強い痛み、腕や足が黒ずんで来た場合は圧迫が強すぎるのですぐに外し、包帯の長さを少し長くして圧迫を緩めてください。(はじめに包帯の切断長を決める時には上で示したように長さより3から5センチ長めにすると、後で切れるので都合が良いでしょう。短いと後で付け足すことができません。新しく包帯を切ることになります)なお重症の糖尿病などで皮膚感覚の異常や皮膚に傷等が認められる場合にはこの弾性包帯による虚血トレーニングを行わないでください。そのような時にはまず虚血包帯を巻かないでスクワットやペットボトル体操を行い、血糖の状態を良くして皮膚状態を改善させてから虚血トレーニングに移行していきましょう。本当は一緒に直接指導してあげられると良いのですが。ちなみに私、理学療法士です。糖尿病の運動療法も得意分野です。

運動の方法

弾性包帯を装着した状態で、腕は500ml(慣れてきたら1L、2LでもOK)のペットボトルを使って腕の運動を行うところからはじめます。太ももは簡単な体操やハーフ(1/2)または、クオーター(1/4)スクワット(膝をあまり深く曲げない)から開始します。以下に運動の例を挙げておきます。ご自分でもいろいろ工夫して行ってみて下さい。はじめのうちは、四つ這い腕立て伏せとハーフ、クオータースクワットだけでも大丈夫です。

ペットボトル 500ml (慣れてきたら1L 2LもOK)

ペットボトルが重くなると滑りやすいので輪ゴムを巻くと力が入りやすいです。

上腕最上部に弾性包帯を装着して上肢の運動

太もも最上部に弾性包帯を装着して下肢の運動

はじめはペットボトルを使わないで始めても構いません。また弾性包帯は緩めに締めて開始して下さい。少しずつ強く締めるようにゆっくりと始めて下さい。日常生活の中で、例えば壁があったら寄りかかって腕立て伏せをしたり、イスや机があったら片手をついてハーフスクワットをしたりしてちょっとした空き時間を見つけて体を動かす習慣を付けましょう。トイレに入った時に下着やズボンを履いたらついでにスクワットを5回、10回と行うと良いトレーニングになりますよ。その他に私は車を運転してる時、信号で止まったら、オートマ車でクラッチを使わないために空いている左足でフットレストを踏みしめて力を入れて左足のトレーニングを行っています。(私は昔の腰痛による坐骨神経痛の影響で左足の膝下の筋力が低下しています。それを鍛えようというのです)

「スロートレーニング」+「エキセントリック・コントラクション」

スロートレーニングとはすべての動きをゆっくり止めずに連続して行うことで、筋肉の収縮頻度を高めて効率的に筋肉増強をする方法です。簡単に言えば、虚血筋力トレーニングを行う時、動作をゆっくり「イチ、ニー、サン、シー」と4秒かけて行い、4秒かけてもとに戻るようにします。

エキセントリック・コントラクションとは伸張性収縮:しんちょうせいしゅうしゅく、といって筋肉を伸ばしながら収縮させることを言います。例えばスクワットなら「膝を曲げる時」に、腕立て伏せなら「肘を曲げる時」にゆっくりと力を込めて動作を行うと効率的に筋収縮が行える、というものです。

「エキセントリック・スロー・虚血トレーニング」で生きましょう。